日本最大の水引産地、飯田(カートピア取材より)
水引の産地は日本各地にありますが、水引細工の約7割は長野県飯田市で作られています。飯田は天竜川の豊富な水と紙の材料となる植物があった地で、古くは紙の産地でした。江戸時代、藩の方針により、和紙を使った「元結(もとゆい)」の製造が盛んになり、明治時代以降はその伝統技術を使って水引が作られるようになりました。今でも相撲の力士の元結は、飯田産の水引なのです。まず飯田水引素材の製造過程は、大きなロールになっている和紙を2~3 CM 幅のテープ状にし、専用の機械でねじって紙縒り(こより)にしていきます。さらに別の機械でその紙縒りを長くピンと張り、着色し乾燥させ最後にのりでコーティングし完成させたものを同じ長さに切って行きます。水引の種類によっては、その前に金銀のテープなどを巻きつける工程もあります。長さ18 M に渡された紙縒りの上に布糊とクレー粉で作った塗料をき鉄の棒と布で挟んで強く扱き、4往復するのが、手製の水引です。昔はこれを炎天でも寒空でも外でやっていたのだそうです。
その水引素材を加工、飯田市内の田中宗吉商店4代目田中康弘社長は、結納品や各種お祝い用のご祝儀袋を作っています。専務の田中秀明さんが水引を実際に結んでくださいました。数本の水引があっという間に梅や鶴や亀になっていきます。最近では各方面からのニーズに合わせて、水引を使ったブローチやナプキンホルダー、箸置きパッケージの飾りなど、オリジナルで考えることも多いのだそうです。包んで、水引で結ぶ。そこには人の心が宿りますから、やっぱり水引は人と人を結ぶものなんだと思っています。と手を動かしながら話してくれました。
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